ひとりごと。

色々吐き捨てるクソみたいなブログです

survival

枯れた草木を踏みしめ、垂れ下がった枝をかき分けながら目の前に見える小さな光へと進んで行く。近づいているようで遠ざかるその感覚に包まれて一時間が経過していた。
既に喉は痛み、声を出すことすら困難になっていた。肩からかけたマシンガンを支える両手は悴んでしまい、うまく握ることができない。
「おい!後もう少しだぞ!」
前方を走るリーダーの櫻井がこちらに気を使って声をかけた。彼のタフネスさは隊内でも有名で、小さな光へ向かっていく彼との距離は離れる一方だった。
「踏ん張れ!」
後方から鋭い声がかかる。松本の張り手が背中に叩きつけられると、ピリピリと静電気のような感覚が足の指先まで伝わり、まだまだ走れる気がした。
感覚のない手でグリップを強く握りしめ、はちきれそうなふくらはぎに力を入れる。はるか後方から迫る狂犬との距離はかなり離れていた。
目標としていた光がだんだんと大きくなり、三人は暗い森から真っ白な光の中へ飛び込んだ。
俺は勢いよく転げ、立て直す動作すらも行えなかった。
櫻井はアサルトライフルを森へと向け、敵からの追撃に備えていた。
「もう終わりにしてやるか…」
そう言った松本はポケットからおもむろに何かを取り出した。亀の甲羅のような装甲のボールだった。先端にあるピンを歯で引き抜き、三人が抜け出した真っ暗な穴に投擲した。
閃光ととてつもない破裂音が数秒の沈黙を破った。一気に膨れ上がる煙の中から二つの物体が回転しながら三人の目の前に転がった。鼻に刺さる爆薬の香り、そして強烈な腐敗臭が辺りを包み始めた。
「潤さぁ…手榴弾はやりすぎじゃねぇ…?」
「甘いっすよ翔さん、一気に始末しないと。」
顔の整った二人は少し泥だらけになっても絵になるものだ。俺は内ポケットから取り出したペットボトルのキャップを震えながら外し、口に運んだ。
常温の水が喉に流れ込んでいく。痛みと渇きがゆっくり癒されていき、一瞬で体の疲れが剥がれていく気がした。
動かなくなった犬の死体の前で繰り広げられるイケメンの会話をぼーっと眺めていたが、段々と瞼が重くなった。あぁ、このまま寝てしまいそうだ。と思った時にはもう意識はなかった。

 

黒く燻んだ天井がだんだんと鮮明になっていく。体の怠さはあまりなかった。
「あ、目覚めた?」
短い黒髪をたなびかせ、岡崎が病室に入ってきた。高校の同級生ということもあってか、未だに彼女のナース服は見慣れないものだ。
「今何時よ?夕方?」
「うん、四時半くらい。」
軽く言葉をかわすと、続けて櫻井が入ってきた。
「よ、体調どう?」
戦闘の時は真剣な面持ちだが、普段はリスのような可愛らしい顔をしている。光沢のあるビー玉のような目は清流のように澄んでいる。眉にふっくらとかかった前髪は綿菓子のように軽々としており、歩を進めるたびに揺れているのが印象的だ。
「意外と大丈夫です。まぁ対して噛まれなかったんで感染も無さそうっすね…。」
ある程度傷口が塞がった脇腹に巻かれている包帯を摩る。痛みは全くなかった。
地球上に突如ゾンビ犬が現れ、世界が荒廃してから早6年。国という概念はもはや無くなり、日本国内でもあらゆる派閥が目立っていた。
そんな中、journeyという会社が全世界へ名乗りを上げた。彼らが掲げたプロジェクトは人間の救済というものだった。
各地にいる人間たちと共に別の星へ移住するという壮大な計画。残された俺たちはjourneyが助けに来るその日に向けて周辺のゾンビ犬を殺害し続けた。
「ついに明日だ。俺たちも助かるんだ。」
櫻井は銀色のケースを取り出し、手巻きタバコをくわえて火を点けた。
病室内にじんわりと渋い匂いが満ち始める。
数時間も逃げ続けてきたからか、どっと疲れが押し寄せてきた。鉄のジャケットを着ているような感覚に陥り、俺は再び眠りについた。

 

鬱蒼とした木々の壁がどこまでも続き、ドーナツのようにぽっかり空いた穴の中心にアジトの廃病院がある。
生き残った仲間たちと廃病院を眺めている。今からjourneyの人間が来るということもあり、みんな感傷的になっていた。
「こんな居心地の悪いアジトともおさらばかぁ…早いもんだな。」
相変わらず手巻きタバコの煙を燻らせる櫻井はそうつぶやいた。
すると遠くから飛行音が聞こえてきた。みんながその方を見ると、豆粒のような黒い点が音と共に接近し、やがてそれがヘリコプターであることが分かった。
「あれだ…!」
松本の言葉を皮切りにみんなの緊張が解けたのか、歓声が上がった。俺も思わず声を張り上げる。つうっと垂れた涙は拭わなかった。
やがてヘリコプターは着地し、迷彩に身を包んだ男が顔を出した。
「迎えに来たぞ。さぁ乗りたまえ。」

 

journeyのアジトはもちろん廃病院などではなく、鏡のように透き通った光沢を放つビルのような物体が乱雑に配置されているようだった。おそらく倉庫なんだろうと理解出来る広場にヘリコプターは着地し、順番に全員が降りた。
目の前にある羊羹のような黒い車から小太りの男がぬうっと出てきた。あれが噂に聞くjourneyの社長なのだろうか。久しく見ていない金箔のようなスーツは彼の脂肪ではちきれそうになっていた。
紫色のサングラスをくいっと直し、その男は俺たちに近づいてきた。
「やぁやぁ。君たちが生き残りの集団だね?」
その男は黒スーツの男二人を連れて話しかけてきた。しゅっとした目の細い男、髭を蓄えて天然パーマが肩まで垂れている男。三人とも癖のある者たちだった。
「そうです。この度は助けていただいてありがとうございます。」
俺たちを代表して櫻井が皆より前に出て頭を下げた。戦闘時はこれでもかというぐらい荒々しいのにこういった時は誰よりも紳士的だ。
「まぁ皆疲れているだろうが。とりあえずこっちに来てくれるかな。」
「どうぞ、こちらです。」
小太りの隣にいた天然パーマの男が癖のある関西弁で指示を出した。
俺たちは言われるがままに広い車庫のような場所へ進んで行く。
段々と車庫の全貌が見えてきた。黒いワンボックスカーが何十台も並んでおり、異様な空間としか言えなかった。
その中の一台の前で小太りの男は立ち止まった。何か説明でも始まるのだろうか。
「皆さんにはjourneyのために働いてもらいます。まぁこんな世界じゃ他に働き口なんてないでしょうし。」
小太りの男はべらべらと話し始めた。誰もが面倒臭いと思っているだろうが、あえて言葉にはしなかった。
「そこで皆さんには、このような仕事をしてもらいます。」
目の細い男が黒いワンボックスカーの後部座席のドアをゆっくりと開いた。
そこには見たことのない光景が広がっていた。
社長よりもぶくぶくと太った全裸の男性のようなものが鎖に縛られて座っていた。驚愕したのはその体色だった。見覚えのある錆びたような銅の色だ。牛のように斑の錆が広がっている。
「これは…どういうことだ?」
櫻井は小太りの社長を睨みつけた。
「我々の仕事は生き残りの者たちを救済するだけではありません。その人間たちとゾンビ犬の融合。つまり新たな生物を生み出すのです。」
車内に座っていた男のようなものがゆっくりと降りてきた。
両手は逮捕されたかのように拘束され、スキンヘッドの頭には血管が浮き出ていた。ぴくぴくと痙攣するそれは恐怖でしかない。
抉られたであろう目からは赤黒い液体が垂れていた。
「…泣いてる……?」
俺がそう呟くと口を塞いでいた拘束具がガタガタ震え始め、声にならない唸り声が辺りにこだました。俺たちはたまらず肩で恐怖を逃した。そう、あの錆びた銅色はゾンビ犬と全く同じものだった。
「我々が描く新世界を築くには他の人間が邪魔で仕方ないのです。なので特製のウイルスを世界中の野良犬に極秘で感染させ、人間を襲わせては我々が救世主として名乗り出るのです。」
「テメェが黒幕なのか!」
櫻井の後ろにいた松本が声を荒げて前に出た。櫻井が黙ってそれを制止する。
「さぁ皆さん、とりあえずは。死んでくださいね。」
隣にいた黒いスーツの二人が懐からハンドガンを取り出した。オーストリア製のグロック。マガジンがアンバランスに伸びており、拡張されていることが分かる。
「きゃあ!」
その動作を確認した岡崎はたまらず後方へ駆け出した。
それを見逃さないかのように天然パーマの男が岡崎へ発砲した。
一瞬宙に舞った岡崎はそのまま前のめりに倒れた。左足から鮮血が垂れる。
「テメェ!」
思わず声を荒げた俺は飛び出した。それを皮切りに他の仲間たちも飛び出す。
小太りの男がニヤリと笑ったその刹那、俺の脳内で強い振動が起こった。
その瞬間、俺の視界はブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という夢を見ました。
文字起こしすると長いなぁと思いながらも書きました。よくわからん世界観ですね。
翔ちゃんと松潤出てきたからテンション上がってしまい突如小説のようなものを書いてしまいました。なんとも稚拙な文章で申し訳ない。でもタバコ吸う翔ちゃんがかっこよくて…たまらずキーボードを叩いていました。
みんなも「今日見た夢壮大だったなぁ」とか「今日の夢に○○くん出てきたぁ!」とかそんなんあったら文字起こししてみることをオススメします。いい暇つぶしになるので。
ではまた次の機会に。


主演
俺/Lily
櫻井翔/櫻井翔
松本潤/松本潤
小太りの男/知らん
天然パーマの男/R-指定(Creepy Nuts)
目の細い男/DJ松永(Creepy Nuts)
岡崎/高校の時の友達